老後に幸福を感じるためには、お金だけでなく「安心・健康・人とのつながり」も重要ですが、まずは生活基盤となる「お金」について、夫婦・単身、住居形態、地域別に最低限の目安と、定年前にやっておくべきこと、注意点をまとめます。
【1】老後に最低限必要なお金(目安)
◆生活費の平均(月額)
区分 | 都心部(例:東京23区) | 地方(例:地方都市・郊外) |
---|---|---|
夫婦(持ち家) | 約25~30万円 | 約20~25万円 |
夫婦(賃貸) | 約30~35万円 | 約25~30万円 |
単身者(持ち家) | 約15~18万円 | 約12~15万円 |
単身者(賃貸) | 約18~23万円 | 約15~20万円 |
※総務省「家計調査」、老後2,000万円問題等の統計を参考
※医療・介護費やレジャー等の希望によって変動
◆老後30年間に必要な総額(目安)
区分 | 都心部 | 地方 |
---|---|---|
夫婦(持ち家) | 約9,000万円~1億円 | 約7,000万~8,000万円 |
夫婦(賃貸) | 約1億~1.2億円 | 約8,000万~1億円 |
単身(持ち家) | 約5,000~6,000万円 | 約4,000~5,000万円 |
単身(賃貸) | 約6,000~7,000万円 | 約5,000~6,000万円 |
【2】定年前にやっておくべきこと
① 収支の「見える化」とライフプランの作成
- 家計簿や家計管理アプリで支出を把握
- 公的年金の見込み額を「ねんきんネット」で確認
- 老後の「年間赤字額」を把握(例:年金収入20万円-生活費27万円=▲7万円/月)
② 住宅問題の解決
- 持ち家ならリフォームやローン完済計画
- 賃貸なら高齢者可の物件確保、保証人問題の整理
- 可能なら「地方移住」「シニア向け住宅」検討も視野に
③ 退職金と年金の受取戦略
- 退職金の運用・一括か分割かの検討(節税対策)
- 繰下げ受給のシミュレーション(最大42%増)
④ 医療・介護・保険の見直し
- 医療保険や介護保険の必要性を再検討
- 高額療養費制度や介護保険サービスの仕組み理解
⑤ 働き方の準備(定年後も収入源を持つ)
- 定年後再雇用やパート、在宅副業の検討
- 「好きなことで稼ぐ」準備(講師・販売・相談業など)
【3】注意点
● 賃貸の場合の家賃問題
- 年金暮らしでも「家賃保証会社」がOKな物件の確保を
- 家賃補助制度(自治体による)を事前に調査
● 持ち家でも「資産価値ゼロ」のリスク
- 空き家化・修繕費・相続放棄問題も考慮
- 高齢者の「住み替え」や「リバースモーゲージ」の検討も一案
● 都心部の生活費の高さ
- 通院・公共交通・人とのつながりは便利だが、物価が高い
- 地方に移住しても「交通弱者」にならない工夫が必要
● 単身者特有のリスク
- 孤独・健康悪化時の支援者不足
- 終活・死後事務委任契約や遺言の整備を
【4】幸福度を高めるためのヒント(お金以外)
- 定年前に「趣味」「仲間」「地域との関わり」を育てる
- 「生きがい」や「ありがとう」と言い合える環境が幸福感につながる
- お金が多少不足しても「自分で選んだ生活」であることが満足度に直結
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