ざっくり言うと…
- 普通養子縁組は「実の親とのつながりが残る」
- 特別養子縁組は「実の親とのつながりが完全になくなる」
表で比較すると…
項目 | 普通養子縁組 | 特別養子縁組 |
---|---|---|
実の親との関係 | 残る | 消える(完全に断たれる) |
養子になれる年齢 | 制限なし | 原則6歳未満(特例あり) |
養親の条件 | 特に制限なし(独身でもOK) | 夫婦のみ(原則) |
主な目的 | 相続・家の跡継ぎなど | 子どもの福祉(家庭を与える) |
戸籍の記載 | 養子と養親のつながり+実親の名前も残る | 実親の名前は消える(実子のように扱われる) |
家庭裁判所の許可 | 不要 | 必要(厳格な審査あり) |
見分け方(戸籍で見る場合)
- 普通養子縁組:
→ 養親の欄に「養子」と書かれ、実親の情報も戸籍に残っていることが多いです。 - 特別養子縁組:
→ 実親の情報が消えていて、まるで最初から実子のような記載になっています。
どちらも「家族になる」手続きですが、特別養子縁組は“子どもの人生を一からやり直す”ほど強い法的つながりを作る制度です。
■ 普通養子縁組の戸籍記載例
(例:AさんがBさん夫妻の養子になった場合)
A 昭和〇年〇月〇日生
父 B(養父)
母 C(養母)
養子縁組 令和〇年〇月〇日 B・Cと普通養子縁組
実父 D
実母 E
→ ポイント:
- 養子縁組の日付と「普通養子縁組」の記載あり
- 実父・実母の名前が残る
■ 特別養子縁組の戸籍記載例
(例:AさんがBさん夫妻の特別養子になった場合)
A 平成〇年〇月〇日生
父 B
母 C
特別養子縁組 令和〇年〇月〇日 B・Cと特別養子縁組
→ ポイント:
- 「特別養子縁組」と記載
- 実親の記載は一切ない(養親=実親として扱われる)
つまり、「実親の名前が残っているか」が一番わかりやすい見分けポイントです。
■ 普通養子縁組の相続
- 実親・養親の両方の相続人になれる
→ つまり「実の親」と「養親」両方の遺産を受け取れる可能性がある。
→ 相続権が 二重である のが特徴。
■ 特別養子縁組の相続
- 実親との親子関係は完全に終了する
→ 実の親の相続権は一切なくなる。
→ 養親の子(=実子と同等)として相続権あり。
例で比較
Aさん(子ども)が養子の場合:
状況 | 普通養子 | 特別養子 |
---|---|---|
実親が亡くなったとき | 相続できる | 相続できない |
養親が亡くなったとき | 相続できる | 相続できる |
補足
- 普通養子を複数とることで、相続税の基礎控除の増加(法定相続人の数が増える)を目的にするケースもあります。
- 特別養子縁組は「実子と同じ扱い」なので、戸籍や遺産分配でも実子と完全に平等になります。
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