●倒産とは何か?
倒産=お金(キャッシュ)が払えない状態
→ 利益が赤字かどうかではなく、「現金が足りなくなると倒産」します。
●「キャッシュが尽きる=倒産」の意味
企業は、日々のお金の出入り(キャッシュフロー)で動いています。
たとえば以下のような支払いがあります:
- 従業員への給料
- 仕入先への支払い
- 銀行への返済
- 工場の電気代や賃料
これらはすべて「現金=キャッシュ」で支払わなければなりません。
キャッシュが底をついたら、支払いができなくなり、たとえ資産があっても倒産(=支払不能)になります。
●赤字でも倒産しない理由
赤字は帳簿上の損失ですが、現金の流出とは一致しないことがあります。
たとえば以下のような場合、赤字でもキャッシュは減っていない(むしろ残っている)のです:
1. 減価償却の影響
- 減価償却費は、現金の支出を伴わない費用
- 例えば機械を1億円で買って、10年で減価償却すると、毎年1,000万円が費用に計上されます
- この費用は帳簿上のものだけで、実際の「お金の出入り」はない
→ つまり、減価償却を前倒しで多く計上すると、赤字になってもキャッシュはまだあるという状態になります。
●日産のような企業での具体例
かつての日産(ゴーン改革以前)をモデルに考えると:
- 生産設備を更新するために多額の設備投資をしていた
- この設備投資は、帳簿上では減価償却という形で何年もかけて費用化される
- もしこれを前倒しで一気に費用化すれば、帳簿上は赤字になる
- でも、実際にはその機械の支払いは過去に終わっており、現金はもう出ていない
→ つまり「赤字でもキャッシュが残っている状態」です。
●この状況で倒産するか?
→ いいえ、しません。
- 利益が赤字でも、
- 減価償却など「現金の支出を伴わない費用」が原因なら、
- キャッシュが減っていないので、支払いはできる=倒産しない
●まとめ
状態 | 内容 | 倒産する? |
---|---|---|
売上赤字だがキャッシュあり | 現金回収できていればOK | しない |
減価償却を前倒しして赤字 | 帳簿上の赤字、キャッシュはある | しない |
キャッシュが底をついた | 支払いできず | 倒産する |
●重要なポイント
- 赤字=即倒産ではない
- 倒産するのは「キャッシュが尽きたとき」だけ
- 会計上の費用(例:減価償却)と現金の流れは違う
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