高齢者を狙った悪質商法(マルチ商法、キャッチセールス、アポイントメントセールス)とその対処法について説明します。特に認知症や要介護の方が被害に遭わないよう、法律や制度を活用した対策を解説します。
1. 悪質商法の種類と特徴
(1) マルチ商法(連鎖販売取引)
- 商品を購入し、他人を勧誘することで利益を得る仕組み。
- 「簡単に稼げる」「元本保証」などと勧誘し、実際にはほとんど利益が出ないケースが多い。
- 高齢者が「親族や友人を勧誘しなければならない」と心理的負担を抱えることも。
(2) キャッチセールス
- 街頭で「アンケートに答えてください」「無料で試せますよ」と声をかけ、店舗や事務所に連れ込んで強引に契約させる手口。
- 健康食品や化粧品、高額な布団や浄水器などがターゲットになることが多い。
(3) アポイントメントセールス
- 「無料でプレゼントが当たりました」「健康相談会にご招待」と電話やDMで呼び出し、販売会場で強引に契約させる手口。
- 特に、高齢者向けに「介護用品」「高齢者向け健康食品」「墓石や仏壇」などを売りつけることがある。
2. 悪質商法への対処法
(1) クーリング・オフ制度の活用
クーリング・オフとは、一定期間内であれば無条件で契約を解除できる制度です。
商法の種類 | クーリング・オフ期間 | 備考 |
---|---|---|
マルチ商法 | 20日間 | 勧誘時の説明が不十分なら取り消し可能 |
キャッチセールス | 8日間 | 書面を受け取ってから起算 |
アポイントメントセールス | 8日間 | 書面を受け取ってから起算 |
- 手続き方法
- 販売業者に「契約解除通知」を書面(内容証明郵便が望ましい)で送る。
- 商品の返品や支払い済みの金額を返金してもらう。
- 事業者が応じない場合は消費者センターに相談。
(2) 契約の取消(判断能力が不十分な場合)
高齢者が認知症や要介護状態で判断能力が不十分な場合、以下の制度を利用して契約を取り消せる場合があります。
- 消費者契約法
「不実告知(嘘をついて契約させた)」「威迫(脅して契約させた)」があった場合、契約を取り消せる。 - 民法(詐欺・錯誤・判断能力の問題)
- 認知症などで契約内容を理解できない状態だった場合、契約を無効にできる。
- 成年後見制度を利用すると、後見人が契約を取り消せる。
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