【1】配偶者控除とはなに?
「不動産の相続」で使われる配偶者控除は、所得税の配偶者控除とはまったく別の制度です。正しくは:
■ 相続税における「配偶者の税額軽減」
■ 内容
配偶者が相続するとき、一定額までの相続財産には相続税がかからないという制度です。
■ 非課税になる金額の上限
次のうち多い方までは、相続税がかかりません:
- 1億6,000万円まで
- 法定相続分(例えば、配偶者と子ども1人なら、配偶者は財産の1/2)
つまり、「たくさんもらっても、配偶者ならかなり非課税になる」という制度です。
■ たとえば…
- 財産が2億円
- 相続人は妻と子1人 → 妻の法定相続分は1億円
→ 妻が1億6,000万円まで相続しても相続税ゼロになります。
■ 注意点
- 申告しないと非課税にならない(相続税ゼロでも申告は必要なケースが多いです)
- 二次相続(妻が亡くなったとき)のことも考えておくと節税につながります
【2】小規模宅地等の特例ってなに?
● 一言で言うと:
亡くなった人の家(土地)に住んでたら、相続税がめちゃ安くなる制度!
● ポイント:
- 自宅の土地(330㎡まで)が、80%も評価額ダウン!
- 相続税をドーンと減らせる!
● 適用されるケース:
- 配偶者が引き続きその家に住む
- 同居の親族が住み続ける(条件あり)
● 小規模宅地等の特例:
- 相続開始から10か月以内に相続税の申告が必要!
参考
「所得税の配偶者控除」「相続税の配偶者控除(税額軽減)」に加えて、「小規模宅地等の特例」もあわせて、わかりやすく整理して説明します。
■ 3つの制度の違い【かんたん比較表】
制度名 | 対象となる税金 | いつ使う? | 誰の税金が安くなる? | 内容 |
---|---|---|---|---|
所得税の配偶者控除 | 所得税・住民税 | 毎年の確定申告や年末調整 | 配偶者を扶養している人 | 配偶者の年収が103万円以下なら、最大38万円の控除 |
相続税の配偶者控除(配偶者の税額軽減) | 相続税 | 配偶者が遺産をもらったとき | 遺産を受け取る配偶者本人 | 最大「1億6,000万円」または「法定相続分」まで相続税ゼロ |
小規模宅地等の特例 | 相続税 | 不動産(土地)を相続したとき | 土地を相続した人(配偶者以外も可) | 居住や事業用の土地の評価額を最大80%減額できる |
■ 3つの制度を「例」でイメージしよう!
【1】所得税の配偶者控除(年末調整)
- 夫の年収:500万円
- 妻のパート年収:100万円
→ 所得税の計算で「配偶者控除」38万円が引ける。税金が数万円安くなる。
【2】相続税の配偶者控除(税額軽減)
- 夫が亡くなり、財産2億円
- 妻が1億6,000万円相続
→ 妻の相続税はゼロ円
(※要申告)
【3】小規模宅地等の特例
- 自宅の土地評価額:5,000万円
- 妻がそのまま住み続ける
→ 土地の評価額が80%減で1,000万円になる
→ 相続税の対象が4,000万円分カットされる!
■ 特に相続のときは「②+③のダブル活用」がカギ!
- 配偶者控除(1億6,000万円まで非課税)
- 小規模宅地等の特例(土地評価額の最大80%カット)
この2つをうまく使うと、相続税がゼロになるケースが多いです。
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