① なぜ大家は宅配ボックスを考えるのか(目的の整理)
大家が期待している効果は主に3つ。
✅ 期待①:募集力の向上
- 「設備が充実している物件」に見える
- 若年層・単身者に刺さりやすい
- 新築・築浅では“当たり前設備”になりつつある
✅ 期待②:クレームの減少(本来の狙い)
- 不在時の再配達トラブルの軽減
- 入居者と管理会社のやり取りを減らしたい
✅ 期待③:資産価値アピール
- 売却時や管理委託の際のプラス材料
② しかし、現実のリスク(大家が失敗しやすい点)
⚠️ リスク1:クレームの温床になりやすい
よく起きること:
- 「いつも満杯で使えない」
- 「壊れている」
- 「誰の荷物かわからない」
- 「生鮮品が入れられた」
- 「長期間放置されている」
👉 結果:
設置したのに管理の手間が増える。
⚠️ リスク2:置き配の普及で価値が相対的に低下
いまの現実:
- Amazon・楽天は置き配が標準
- 配達員は置き配を好む
- 入居者も「玄関前でOK」の人が増えている
👉 つまり:
宅配ボックスがなくても、配送は回ってしまう。
⚠️ リスク3:防犯上の問題
大家として見逃せない点:
- 宅配ボックス=「中に荷物がある」と分かる
- こじ開け・破壊被害の可能性
- 配達員の出入り増でオートロックの実効性が低下
- 「盗難時の責任」がグレーになりやすい
③ 大家の正しい判断軸(設置の是非)
単純な二択ではなく、物件タイプで考えるのが実務的です。
✅ 設置したほうが良い物件
(宅配ボックスの価値が出やすい)
- 駅近・都心部
- 新築〜築浅
- オートロック物件
- 単身者(特に女性)中心
- 家賃が中〜高め
👉 この場合のコツ:
全戸分は不要(コスト過多)
4〜8戸に1個程度で十分
電子式よりメカ式(鍵式)を中心に
✅ 必須ではない(置き配中心でOK)な物件
(宅配ボックスに固執しなくてよい)
- 築古物件
- 地方・郊外
- ファミリー向け
- 家賃が低め
- 共用部が開放的
👉 代替策(現実的でおすすめ):
・「置き配スペース」を整備
・屋根付きスペース
・防犯カメラ設置
・「ここに置いてください」表示
④ いま主流になりつつある“バランス型モデル”
実務で増えている現実解がこれ。
🔹 モデルA:小規模宅配ボックス+置き配スペース
- 小型の宅配ボックスを最低限だけ設置
- 大半は置き配で対応
- カメラで抑止力を高める
🔹 モデルB:カメラ付き置き配ゾーン中心
- 宅配ボックスは設置しない
- 代わりに安全な置き場+防犯カメラ
- コストが安く、運用が楽
⑤ 大家が“必ず決めておくこと”(トラブル防止)
設置の有無に関わらず、ここが最重要。
📄 ルールの明確化(入居時に説明)
契約時に伝えること:
- 置き配は原則、入居者責任
- 盗難時の補償範囲
- 宅配ボックスの故障時の対応フロー
- 長期放置荷物の扱い
👉 これを決めておくだけで、クレームは激減します。
⑥ コストと手間(大家の実感値)
| 項目 | フル宅配ボックス | 小規模+置き配 | 置き配中心 |
| 初期コスト | 高い | 中 | 低い |
| 管理手間 | 多い | 中 | 少ない |
| クレーム | 出やすい | ほどほど | 少なめ |
| 防犯リスク | あり | 抑制可 | 抑制可 |
| 入居者満足 | 高い場合あり | バランス良い | 物件次第 |
🧭 大家目線の“最終結論”
「宅配ボックスは“設備”ではなく“運用”。
置き配とセットで設計しないと、かえってトラブルが増える。」
📝 大家向け 判断チェックリスト
- □ ターゲットは単身?ファミリー?
- □ 駅近・都心か?地方か?
- □ 家賃帯は中〜高めか?
- □ 共用部に置き配スペースを作れるか?
- □ 防犯カメラは設置できるか?
- □ 置き配の責任範囲を契約書に書く準備はあるか?



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