賃貸マンションのオーナー(貸主)が負う責任の範囲について、「工作物責任」と「既存不適格」の観点からわかりやすく説明します。
1. 工作物責任(民法第717条)
建物の欠陥で第三者が被害を受けた場合の責任
ポイント
- 建物の「瑕疵(かし)」が原因で、他人に損害を与えた場合、オーナー(所有者)が責任を負う。
- 「瑕疵」とは、通常備えているべき安全性が欠けている状態。
- 例えば…
- 外壁のタイルが剥がれて通行人に当たった。
- 老朽化した階段が崩れ、住人が怪我をした。
- オーナーが免責される条件
- 「適切な管理をしていた」ことを証明できれば、責任を回避できる可能性がある。
2. 既存不適格(建築基準法)
法律改正後に基準を満たさなくなった建物

ポイント
- 建築当時は適法だったが、法律の改正により基準を満たさなくなった建物のこと。
- ただちに違法とはならず、現状のまま使用は可能。
- しかし…
- 増改築・修繕・用途変更 などをすると、最新の基準に適合させる必要がある場合がある。
- 例えば…
- 耐震基準が変更され、旧耐震のマンションが「既存不適格」となる。
- エレベーターの安全基準が変わり、古いものが基準を満たさなくなる。
オーナーの責任
- 現状維持なら即座の対応は不要だが、安全性の確保は重要。
- 重大な事故が発生すると、管理責任を問われる可能性がある。
- 行政から指導が入ることもあるので、必要に応じて改修を検討。
オーナーが取るべき対応
✅ 建物の定期点検・修繕を行う ✅ 老朽化による事故を防ぐための対策を講じる ✅ 法律の変更情報を把握し、適宜対応する
特に高齢の入居者が多い場合や、事故リスクが高い建物(築古マンションなど)は、注意が必要です。
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